パスケースのオリジナル製作をするときに覚えておきたい素材と印刷の種類

オリジナルグッズのなかでパスケースは素材や印刷の種類が多く実用性も高いので人気のアイテムです。そこでパスケースをオリジナル製作するときに覚えておくと役に立つ素材と印刷について解説します。

パスケースとは?

パスケースとは?

パスケースとは電車やバスの乗車定期券を収納する入れ物のことで定期入れやカードケースとも呼ばれています。朝の通学・通勤ラッシュ時に、学生やサラリーマンがパスケースを手に駅の自動改札機をとおる姿はよくみることでしょう。パスケース(PASS CASE)とは実は和製英語でCARD CASEやPASS HOLDERが正しい英語での名称となります。ちなみに定期券のことは英語でCOMMUTER PASSといいます。

パスケースの使い方はその名のとおり定期券(SuicaやPASMOなど)を収納しておきます。その定期券を入れたパスケースを駅の自動改札機やバスの乗車口にあるカードリーダーにタッチして通過・乗車します。定期券はお財布や手帳型スマホケースに入れておいてもよいですが、使うたびにカバンのなかから取り出すのは時間がかかりますしめんどうです。定期券専用のケースがあればサッとスマートに取り出せるので楽ちんです。

パスケースの形状は収納する定期券と同じ長方形型のものが一般的です。一枚のみ収納できるタイプと二つ折りで複数枚カードを収納できるタイプもあります。ケース上部にはストラップやボールチェーンをとおすための吊り下げリングがついており、中央または下部には定期券をスムーズに出し入れするための穴や切れ込みが入っています。また定期券の表面がケースに入れたまま見られるよう全面が透明になっているものもあります。

パスケースの金額は安いものでは数百円、高いものでは数万円と幅広い価格帯のラインアップがあります。日常的に使うのもですので飽きのこない無地タイプのものが数多く見受けられますが、アニメのキャラクターが印刷されていたり、水玉やチェック柄といったカラフルなもの、ハイブランドによる高品質のパスケースも人気です。

パスケースに使われる素材

パスケースというと無地でレザー素材のものをイメージされる方が多いかと思われますが、レザー以外にもビニールやアクリルなどさまざまな素材が使われています。各素材の特徴をつかんで作成したいパスケースのイメージにあった素材を選んでください。

パスケースに使われる素材

レザー(本革)

牛や豚、馬といった動物の皮をなめし加工したレザー素材を本革といいます。動物の皮はそのままにしておくと固くなったり腐ってしまうため、なめし剤という科学薬品を使い柔らかくすることで素材として使用できる革へと変化させます。本革は見た目的に高級感があり、耐久性も高く長期間使用できます。また長く使うことによる経年変化で革本体の色味が時間とともに徐々に変化していく風合いも楽しめます。

PUレザー(合皮)

PUレザーのPUとはPolyurethane(ポリウレタン)のことです。基礎となる布地にポリウレタン樹脂を塗布して皮革に似せて作られた人工素材です。PUレザーは弾力性、柔軟性が高く使い勝手に優れており、ソファやバッグ、手帳型スマホケースなど身の回りのさまざまなものに使用されています。撥水性も高く汚れてもサッと拭くだけでキレイになるのでお手入れも簡単です。また本革より安価なのも大きなメリットです。

PVC

PVC(Polyvinyl Chloride)とは一般的に塩ビと呼ばれているビニール素材(樹脂)のことです。PVC最大の特徴は可塑剤という薬品を添加することにより樹脂の硬さを自由に変えられるところ。そのため水道管や雨どい、テーブルクロス、ポーチ、ペンケースなど幅広い商品の素材として使用されています。PVC製のパスケースはツルツルとしたなめらかな手触りや、耐候性・耐水性に優れているため人気があります。

アクリル

アクリルとは高い透明度と優れた耐衝撃性を持つプラスチックの一種です。アクリル製のキーホルダーやパスケース、コースターなどはオリジナルグッズの定番商品ですのでご存知の方は多いのではないでしょうか。光線透過率はガラスを凌ぐ94パーセント(ガラスは92パーセント)。そのため光が当たるとキラキラと美しく輝きます。また衝撃にも強いので多少のショックでも割れたりキズがつくことはありません。

シリコン

シリコンとは地球上で酸素の次に多い元素であるケイ素を原材料とした樹脂状の化合物です。製造工程によりゴムやプラスチック、オイルなどさまざまな形態に加工できます。パスケースで使用されるのはシリコンゴムと呼ばれるゴム状のものですので、弾力があり滑りにくく手にぴったりとフィットします。耐熱性と耐寒性に優れておりなんとマイナス40〜260℃の環境下でもゴムの特性が維持されるので使用が可能です。

パスケースの付属パーツ

パスケースには付属品としてパーツが付いてます。基本的にはバッグやリュックにぶら下げるためのパーツですが種類により素材や形状、使い勝手がそれぞれ異なります。パスケース本体の素材やデザインにあわせてパーツもお選びください。

ストラップ

ストラップとは長さ10〜15センチほどの短い吊り下げ紐(ベルト)のことです。ストラップの先端にはナスカンと呼ばれる開閉式の金属パーツが付いています。このナスカンでストラップを輪っか状にすることでバッグにぶら下げることができます。また手首をとおせば持ち歩きの際にも楽です。ストラップはレザー製のパスケースでよく使われており、パスケース本体と同じ素材を使うことにより一体感を出せます。

ストラップ

リールクリップ

リールクリップとは本体に内蔵されている紐を伸び縮みさせて使えるパーツのことです。たとえばバッグにリールクリップ付きパスケースを取り付けておけば、自動改札機をとおるときに紐の長さぶんだけ伸ばせるのでバッグを無理に近づける必要がなくとても便利です。素材はプラスチックまたは金属製が一般的で大きさや色も多彩な種類が用意されています。パスケースではストラップとセットで使われることが多いです。

リールクリップ

伸縮コイル

伸縮コイルとはその名のとおりコイル(螺旋状の針金)のような形状をしたパーツのことです。それぞれの端にナスカンとリングがついており輪っか状にすることでバッグに取り付けられます。素材はビニールですので柔軟性があり、螺旋状のためある程度の長さまで伸ばすこともできます。本体色は透明のほか赤や青などカラーバリエーションも豊富に用意されています。素材感が同じということでPVC製のパスケースでよく使われています。

伸縮コイル

ボールチェーン

ボールチェーンとは小さな金属製のボールがつながってひとつのチェーンになっているパーツのことです。チェーン先端のコネクタと呼ばれる留め具にボールを固定するだけで簡単に取り付けることができます。なおボールの大きさや長さが異なるものや、黒、緑、ピンクなど色つきのタイプもあります。ボールチェーンは安価のためレザー、アクリル、PVCと素材を問わず多くのパスケースで使われています。

ボールチェーン

金属チェーン

金属チェーンとはその名のとおり金属でできたチェーンのことです。片側にナスカンがついており簡単に取り外しができます。ボールチェーンに比べて太く、長く、頑丈ですのでちょっとのショックで外れてしまうことはありません。素材が金属ですのでシルバーやゴールドのチェーンはキラキラと光り見た目的に高級感もあります。そのためレザー製のパスケースにリールクリップとセットで使うと統一感が出ます。

金属チェーン

オリジナルパスケースへの印刷方法

パスケースへの印刷方法には大きくわけてシルク印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷の3種類があります。各印刷方法の特徴を理解し、印刷するデザインにあった印刷方法を選んでください。

パスケースとは?

シルク印刷

シルク印刷とは布製の版(はん)にインクを刷り込んで色を付けていく印刷方法のこと。インクをヘラで擦るとあらかじめ版に開けておいた孔からインクが押し出され、孔の部分にのみ色が付いていきます。インクは一色ずつ色をつけていくので色の数だけ版が必要となります(そのぶん版代もかかる)。そのため単色や色数が少ないデザインを印刷するのに向いています。印刷物に直接インクをのせるので布やガラス、プラスチックなどさまざまなものに印刷できるのも特徴(曲面印刷も可)。

オフセット印刷

オフセット印刷とは版につけたインクをブランケットと呼ばれる樹脂やゴム製の転写ローラーを介して印刷物に転写する印刷方法のこと。インクを転写ローラーに移し(オフ)、印刷物に転写(セット)することからオフセット印刷と呼ばれています。印刷に使用される版はシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色からなっており、この4色が重なり合うことによって高品質なフルカラーが表現されています。版はこの4色ぶんのみとなるので色数が増えても版代が追加されることはありません。

インクジェット印刷

インクジェット印刷とは印刷物に直接インクを吹き付けて色を付けていく印刷方法のこと。印刷と同時にUV(紫外線)を照射してインクを固めていくのでUVインクジェット印刷とも呼ばれています。印刷物に噴射するインクの量や密度を調節できるので写真やグラデーションなど繊細な色合いの印刷を得意としています。なお印刷物に直接印刷していくのでシルク印刷やオフセット印刷のように版代はかかりません。そのため小ロット、多品種での印刷に向いています。

デザイン別おすすめ印刷方法

パスケースの素材や印刷方法はひととおりわかったけど「実際に自分で製作するときにどれを選べばいいのかわからない」という方のためにデザイン別おすすめ印刷方法を紹介します。素材や印刷方法を選ぶ際の参考にしてみてください。

デザイン別おすすめ印刷方法

ワンポイント印刷したいとき

ロゴマークやイラストをワンポイントで印刷したいときは「PUレザーにインクジェット印刷」がおすすめです。版を必要としないインクジェット印刷でしたら短時間で印刷できますし、版代もかからず低単価で製作できます。素材としてはワンポイントというさりげないオシャレを引き立てる無地のPUレザーがぴったりです。

  • おすすめ素材:PUレザー(合皮)
  • おすすめ印刷方法:インクジェット印刷

パスケース全面にフルカラー印刷したいとき

デザインをパスケース全面にフルカラー印刷したいときは「PVCにオフセット印刷」がおすすめです。キャラクターイラストや多彩な色使いのデザインでも色味を忠実に再現した高品質なフルカラー印刷を行えます。版代はかかりますが色数が増えても追加されることはありませんので安心です。素材はカラーが映えるツルツルとしたPVCがあいます。

  • おすすめ素材:PVC
  • おすすめ印刷方法:オフセット印刷

両面に異なるデザインを印刷したいとき

パスケース両面にそれぞれ異なるデザインを印刷したいときは「アクリルにインクジェット印刷」がおすすめです。インクジェット印刷は版代がかかりませんので安価に製作できます。またアクリルパスケースは両面とも印刷スペースが大きくとれますのでデザインが映えます。ただ片面ずつ印刷するので通常納期よりが時間かかる場合があります。

  • おすすめ素材:アクリル
  • おすすめ印刷方法:インクジェット印刷

特殊な加工をしたいとき

通常の印刷ではなくちょっと変わった加工をしたいときは「レザー(本革)に型押し・箔押し」がおすすめです。型押しとは文字やロゴの形をした型をハンコのように押し付けて模様をつける加工法。箔押しとは金や銀の箔(はく)を押し付けてキラキラと光る文字やロゴを施す加工法のこと。レザー(本革)に型押し、箔押しするとさらに高級感がでます。

  • おすすめ素材:レザー(本革)
  • おすすめ加工方法:型押し、箔押し

オリジナルパスケース製作における素材別のポイント一覧

パスケースによく使われる素材や付属するパーツ、印刷方法などを表にまとめました。オリジナルパスケースの企画・製作にお役立てください。

印刷方法 形状 パーツ 数量 単価
レザー インクジェット印刷 長方形(横型)、長方形(縦型) ストラップ+リールクリップ、伸縮コイル+ナスカン、伸縮コイル+キーホルダー 1個〜 1000円〜
PUレザー インクジェット印刷 長方形(横型)、長方形(縦型)、オリジナル ストラップ+リールクリップ、ボールチェーン、金属チェーン、伸縮コイル+ナスカン、伸縮コイル+キーホルダー 10個〜 400円〜
PVC シルク印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷 長方形(横型)、長方形(縦型)、円、ハート、カプセル、オリジナル ボールチェーン、伸縮コイル+ナスカン、伸縮コイル+キーホルダー 50個〜 300円〜
アクリル インクジェット印刷 長方形(縦型) ボールチェーン、伸縮コイル+キーホルダー 10個〜 780円〜

※単価は300個注文した場合の金額です。