
「Gemini、ChatGPT、Claudeで作った画像を、そのままグッズに印刷して販売してよいのか」と迷う方は少なくありません。結論として、いずれのサービスも規約上は商用利用を認めていますが、それは各社との契約上の話にとどまります。生成した画像が第三者の著作権や商標権を侵害していないかどうかは別問題であり、販売する側が自ら確認する責任を負います。
生成AI画像の権利は誰のものか
Gemini、ChatGPT、Claudeはいずれも、ユーザーが入力したプロンプトに対して生成された出力(画像や文章)について、権利をユーザー側に譲渡する仕組みを採用しています。ChatGPTを提供するOpenAIは利用規約の中で、出力に関する自社の権利、権原、および利益をユーザーに譲渡すると明記しています。同様にAnthropicの商用規約でも、規約を遵守することを条件に、顧客が出力を所有すると定められています。Googleについても、生成コンテンツの利用そのものは規約上認められています。
各社規約の違い
ただし、この「権利の譲渡」は、あくまで提供企業とユーザーとの間の契約上の取り決めにすぎません。生成された画像がAIによって自動的に作られたものである場合、その画像自体に著作権が発生するかどうかは、また別の論点です。米国著作権局が公表した報告書では、AIが表現の細部を自律的に決定した部分には著作権が発生せず、人間が創造的に選択・改変した部分にのみ保護が及ぶという考え方が示されています。
参考資料
商用利用OK=販売OKではない
規約上の商用利用可否と、第三者の権利を侵害していないことは、まったく別の問題です。文化庁が公表した「AIと著作権に関する考え方について」では、生成された画像が既存の著作物と類似しており、かつその著作物に依拠していると判断される場合、AIが自動的に生成したものであっても著作権侵害に該当し得るとされています。グッズとして印刷し、不特定多数に頒布する行為そのものが、権利侵害の対象になり得る点に注意が必要です。
著作権・商標権・肖像権のリスク
著作権以外にも、確認すべきリスクは複数あります。特許庁が公表した商標制度に関する資料では、AI生成物を含む商標であっても、従来の商標登録出願や商標権と同様に扱われるとされており、既存の著名なロゴやキャラクターに類似した画像を商標的に使用すれば、通常のデザインと同じ基準で侵害と判断されます。また、実在の人物に似た画像を生成し、そのイメージを利用して商品を販売した場合は、肖像権やパブリシティ権の侵害にあたるおそれもあります。
参考資料
グッズ販売前に確認すべきチェックポイント
権利侵害のリスクを避けるためには、販売前の確認作業を習慣化することが大切です。まず、生成した画像を画像検索にかけ、既存の作品と酷似していないかを確認します。次に、ロゴやキャラクター要素が含まれる場合は、特許庁の商標検索システムなどを利用して、類似する登録商標がないかを調べます。文化庁のガイダンスでも、生成に使用したプロンプトや生成履歴を保存しておくことが、依拠性に関する判断材料として有効であると述べられています。あわせて、著作権侵害時の補償制度を備えたプラン(各生成AIサービスの有料プランで提供されています)を選ぶことも、事業者としてのリスク低減につながります。
生成AI画像は、規約上どのサービスでも商用利用が可能であり、グッズ販売そのものを禁止するものではありません。ただし、権利を所有できることと、他者の権利を侵害しないことは別の話です。画像検索や商標調査による事前確認を徹底したうえで活用すれば、生成AIはグッズ制作の強力な選択肢になります。